映画館の暗闇の中、たくさんの知らない人と一緒に、光るスクリーンを見上げる時間が好きです。とはいっても、あまり行ける機会はなく、もっぱら映画はサブスクで家で見ることが多くなりました。映画は、時々見るくらいで、あまり詳しくはありませんが、こころの病を描いた映画作品をいくつか紹介します。なるべくネタバレは少なくしたいと思います。
「恋愛小説家(1997アメリカ)」
主人公は強迫性障害のある、偏屈な男性です。強迫症状が描かれますが、おそらくは、純粋な強迫性障害ではなく、こだわりの強さなど、自閉スペクトラム症が背景にありそうです。彼の傍若無人な言動は、周囲と軋轢を生み、「厄介な人」と思われています。しかし、人々との関わりの中で、周囲の人に、そして彼にも変化が起きてきます。
「ビューティフル・マインド(2001アメリカ)」
統合失調症に罹患した、実在の数学者ジョン・ナッシュ博士の半生を描いています。症状の描写は、典型的な症状とは少し異なるかもしれませんが、本人の困惑と苦悩、家族の不安、そして時間をかけて回復が描かれています。
「17歳のカルテ(1999アメリカ)」
不安定なこころを抱えて精神病院に入院している少女たちの葛藤や友情のお話です。
原作者が、境界性パーソナリティ障害(BPD)と診断され、入院した経験を綴った自伝を映画化しています。衝撃的な展開もあるため、不安定な気持ちの時は避けた方が良いと思います。
「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ(2017イギリス)」
薬物依存症のミュージシャンの青年が、ボブ(猫)とともに、薬物を絶って立ち直ろうとする実話を元にしたお話です。青年の肩にひょいと乗っている猫は、実在の「ボブ」自身が出演しています。猫がお好きな人に、特におすすめです。
「ツレがうつになりまして。(2011年日本)」
夫(ツレ)のうつ病発症を機に、変化していく夫婦の生活を描いた細川貂々さん(てんさん)のコミックエッセイの映画化です。うつ病の方の認知がリアルに描かれています。家族がうつ病になった時にどうするか、お二人の関係はとても素敵です。
「英国王のスピーチ(2011年イギリス・オーストラリア)」
吃音があったジョージ6世の物語です。内向的な性格や吃音の背景には、小児期の様々な痛みがありました。病状としては、社交不安障害の範疇と思われます。治療者とともに、過去を受け入れながら、変わっていく様は、感動的です。王族でありながら、治療者とフラットな関係であったことも、良かったのでしょう。
他に、知的障害や認知症など、色々な疾患が描かれた映画がありますが、長くなったのでこの辺りにします。
サスペンス系などの、最後のどんでん返しで「実は全て主人公の妄想でした!」という展開や、バッドエンドで終わりという展開の映画は、私はちょっと苦手です。
映画くらい、映画だから、こころがぽうっとあたたかくなるお話が好きです。
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